日々雑感っ(気概だけ…)on Hatena Blog

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「鬼火」を観る。


 1963年フランス・イタリア合作・ルイ・マル監督。原題Le Feu follet(ゆらめく炎)
 初期の北野武監督に影響を与えた作品といわれ、観てみたいと思って、amazonで購入したら、youtubeで全編上がってました(^-^;)。DVDは、HDリマスター版だったので映像はきれいだったけど、音があんまし良くなかった…。
 (亡くなってました。やっぱり違法UPだったよう…)

 ルイ・マル監督は、「死刑台のエレベーター」とか「地下鉄のザジ」が有名です。「死刑台のエレベーター」は、主題歌が有名↓

フランス映画って殆ど観ない。てか、そもそも最近は洋画ほとんど観ません。今回も北野映画の原点的な話があったのと、音楽がエリック・サティだったってことで。


 お話は、アルコール依存症で入院しているアランが自殺を決意し、最後に旧友たちに逢いにいく話。一緒にバカ騒ぎをしていた友は平凡な家庭の夫になっていたり、ある友人は麻薬に溺れ退廃にまみれた生活を送っていたり。最後に訪れたのは、かつての恋人ソランジュの家。いくつかの家に行き、そのどれもが自分の居るべき場所でないことを改めて感じる。そして当初の予定通り、拳銃で自殺をする銃声で物語は終わる。自室の鏡には、彼が自殺する日と決めた7月23日の文字。


 人生に夢も希望もなくなった男にとって、選ぶべき道は自殺しかない。アメリカ人の妻は結婚後ニューヨークに一人で戻ってしまい、浮気相手ともつかの間の逢瀬を楽しむけど、彼を繋ぎとめることはできない。


 "甘えてる"と一言で言いきってしまうには、彼の虚無は深い。サティの名曲が更にアランの哀しみを増幅させている。昔はあんなに楽しかったのに、今の彼には何一つ楽しめず、一方で友人たちは夫々の幸福に興じている。


 死への誘いは甘美だ。どんな享楽もそれを止めることはできない。
 暗い映画だから爽快な気分を求めている人には全く合わない映画。でも人生って楽しいばかりじゃない。疑問を持ったり、あるいは死に対して親近感を持つことも人生をちゃんと生き抜く為に必要なこと。「どーでもいいじゃん」って、考える事を止めることは、考えた末で出てきた答ならともかく、単に面倒だから考えないというのは駄目だと思う。


 お勧めはしないけど、派手な活劇ばかり観てる方には、こういう映画もあるという事を知ってほしいもんです。

 

鬼火 [DVD] (HDリマスター版)

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